INDD 2012 Tokyo
InDesignユーザーの祭典
- 日時:2012年7月20日(金)13:00-19:00
- 会場:ベルサール汐留 2Fホール
- 定員:500名
- 主催:INDD実行委員会
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電子書籍トラック:セッション1/13:00-13:45
[B-1]電子書籍オーバービュー
講演者:境祐司
時間の目安:[1]〜[2]15分程度/[3]〜[4]15分程度
ストーリー:
電子出版の歴史は意外と古く、日本電子出版協会(JEPA)が設立されたのは、今から26年前(1986年)です。実は、この年にはアルダス社のPageMakerがリリースされています。「DTP」を提唱したのは、このアルダス社です。つまり、電子出版とDTPはほぼ同じ時期にスタートし、各々の領域で進化してきたわけです。2012年は、この2つの流れ(出版工程の電子化と出版物の電子化)が交わり、本格的な融合が始まる年だと思います。
音楽や映像とは異なり、再生機(ハードウェア)を必要としなかった書籍が、電子化されることで、読者に今まで必要のなかった負担を強いることになります。特に、PCやインターネットをあまり利用していない読者にとっては、とても敷居が高いコンテンツです。アカウントを取得し、ダウンロードするまでのプロセスは、まだまだ問題が多く、今の電子書籍は、子どもから高齢の方まで気軽に買える商品にはなっていません。
私たちは、まだ整備されていない小さな市場で、ぎりぎりの利益を確保しながら、将来の電子出版業界を育てていく必要があります。日本の電子書籍市場は推計629億円(2011年度/インプレスR&D調べ)。その大半を占めるケータイの電子書籍市場が急速に縮小し始めています。2010年度、572億円あった市場が、480億円まで落ちました。2012年度ではさらに減り、407億円になると予測されています。これからは、スマートデバイスなどを中心とした新市場が主体となって、電子出版市場が構築されていくでしょう。
DTPが生まれてから、26年経ち、これから同じ時間を歩んできた電子出版との融合が始まります。印刷・出版に携わってきた方々が、(技術面ではウェブと密接な)現在の電子出版と、どう付き合っていけばよいのか、今回の講演を通して一緒に考えていきたいと思います。
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概要:
[1]プラットフォームを3つに分けて理解しよう
- Amazon Kindle
- EPUB採用ストア
(Kobo、Sony、Books on Google Play、iBookstore、B&N、その他) - 国内のストア
(XMDF、.book採用ストア、EPUB採用ストア、その他)
[2]電子書籍の事実上の標準フォーマット「EPUB」を理解するポイント
- EPUBの概要
- EPUB3を採用するストアが多いのはなぜか?
- EPUB3は現在どこまで使えるか(対応リーダーの実装状況)
- EPUB3 固定レイアウトが登場した理由
- EPUB3 固定レイアウトの種類
(自社で作成・個人で作成する場合・ストアの仕様に準拠する場合)
[3]電子出版で先行する「Amazon Kindle」を理解するポイント
- Kindle Storeの概要
- KindleのフォーマットKF8とEPUB3の互換性は?
- KF8ではどんな表現が可能?
(文芸書、図版の多い実用書、教科書、絵本・写真集、コミック、その他) - スマートフォンでもズームなしで雑誌が読めるハイブリッドタイプとは?
[4]これからの電子出版
- プロダクションワークはどう変わる?
(InDesignは、電子出版のツールか、支援ツールで終わるか?) - 限りなく自動化に近づく電子出版とデザイナーのハンドワークが中心の電子出版
- これから起こること:電子書籍制作のコモデティ化、格安競争
- これから起こること:個人または小規模な電子出版専門インディペンデントの登場
- これから起こること:月額課金の読み放題サービス
- これから起こること:電子書籍の永続性、DRMについての議論
- DTPデザイナーから電子書籍デザイナーへ、編集の仕事の幅を広げるために
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電子書籍トラック:セッション6(18:00-18:45)のパネルディスカッション「電子書籍はビジネスになるのか?どうやったらビジネスにできるのか?」にも登壇いたします。
登壇者:
- 樋口 泰行
- 境 祐司
- 馮 富久(技術評論社)
- 高瀬 拓史(イースト)
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2012年7月6日更新
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